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骨盤臓器脱手術には、いろんな「克服すべき課題」があります。
今回は、「骨盤臓器脱の手術中に起こるトラブルの確率」について解説させていただきます。
↑これは、とある学会で発表したスライドの一部です。
骨盤臓器脱手術にはいろんな「解決すべき課題」がありまして、これまで2500例を超える手術経験の過程で、課題解決に全力を注いできました。
大半は克服できたのですが、まだ解決できてない課題もあります・・・
手術中における課題いろいろ
術中臓器損傷:ここ4年くらい起こっていない
入院期間が大幅延長になるような、明らかな臓器損傷は、2021年以来起こっていません。
まあ、「まず起こらない」と考えてもらっていいでしょう。
術中多量出血:確率は500分の1以下
輸血を要するほどの、多量の出血を起こす確率は、500分の1以下です。
これも、「滅多に起こらない」と思っていただいてよろしいかと。
直腸脱合併例への対処:全例同時に治せる
子宮脱には時々、直腸脱を合併していることがあります。
初期には二回に分けて手術を行っていましたが、今はすべての症例で、同時に手術できるようになっています。
重度子宮脱への対処:経腟手術で再発なく治せる
子宮脱には、↑軽度(左)のものから重度(右)のものまで、いろいろあります。
かつては、重度子宮脱に対してTVM手術を行うと、アームがずれて再発することがありました。
(だから重度子宮脱には腹腔鏡手術を選択する施設もあります)
術式改良が進んだ結果、近年では重度の子宮脱であっても、経腟手術で再発なく治せるようになっています。
手術時間:初期と比べて飛躍的に短縮した
初期の骨盤臓器脱手術は、2時間半くらいかかっていました。
1日1件手術したら、集中力を使い果たして、その日は終了でした・・・
現在では手順が確立されて、だいたい1時間くらいで終わるようになっています。
(重症例や癒着の強い場合には、1時間半近くかかることもあります)
やろうと思えば、1日3件の骨盤臓器脱手術を行うことが可能です。
ワタクシ的には、1日3件の日々が続くと身が持たないので、原則2件(プラス小手術1件)にとどめています。
麻酔:今まで事故が起こったことは無い
あと、ここでは詳しく触れませんけど、麻酔の不安もありますよね。
「麻酔かけたらちゃんと目が覚めるの?」という不安に思ってる方が、時々いらっしゃるんです。
当院ではこれまで数千件の全身麻酔手術を行ってきましたが、麻酔の事故は一件も起こっていません。