骨盤臓器脱専門

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手術を受けたら排尿状態はどうなる?

骨盤臓器脱術後に排尿状態はどうなる?

骨盤臓器脱手術を受ける予定の方から、排尿に関する質問を、いろいろいただくことがあります。

 

質問は、だいたい↓この三つに集約されます。

 

「いま尿が出にくいんだけど、骨盤臓器脱手術を受けたら尿は出やすくなりますか?」

 

「ときどき尿が漏れることがあるんですけど、骨盤臓器脱手術を受けたら尿もれは良くなりますか?」

 

「今は排尿は正常なんだけど、骨盤臓器脱手術を受けたら尿が漏れやすくなりますか?」

 

 

結論から言いますと・・・

「骨盤臓器脱の術後に、排尿状態がどうなるか正確に予想するのは難しい」

「だからまず骨盤臓器脱を治して、術後の排尿状態に応じた手を打つのがベストです」

私はこのように説明しています。

 

以下、くわしく解説してみます・・・

 

「いま尿が出にくいんだけど、術後に尿は出やすくなりますか?」

これは、尿が出やすくなるケースが大半ですね。

 

 

骨盤臓器脱で膀胱が下がっていると、尿道が屈曲して圧迫されて、尿が出にくくなっていることがあります(上図左の赤矢印)

 

この場合、骨盤臓器脱手術で膀胱が挙上されると、尿道の圧迫が取れます(上図右)

そのため、術後は尿がスムーズに出やすくなるんです。

 

ただし、重度の骨盤臓器脱の人では、もともと膀胱の収縮力が弱っていることがあります。

このような人が骨盤臓器脱手術を受けても、尿が出にくい状態が続くことがあるんですね。

まず手術で膀胱尿道の形を正常に戻したので、今度はお薬や体操とかで、膀胱収縮力の回復を待ちましょう。

 

「ときどき尿が漏れることがあるんですけど、術後に尿もれは良くなりますか?」

これは、良くなる人もいるし、良くならない人もいます。

 

①良くなる場合

 

骨盤臓器脱で膀胱が下がっている人では、切迫性尿失禁という状況が起こることがあります。

「急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまう」という症状ですね。

 

膀胱が下がっていることで、膀胱の知覚が異常になってて、尿を貯めることができなくなっているわけです(上図左)

 

この場合、手術で膀胱の位置が正常に戻ると、尿失禁の症状が軽快してくることが多いです。

 

②良くならない場合

逆に、良くならない人(または悪化する人)もいます。

 

 

もともと尿道の締まりが相当ゆるくて、術前から尿が漏れている人の場合(上図左)がこれに該当します。

この場合、骨盤臓器脱手術で尿道圧迫がとれると、さらに尿漏れが悪化してくるわけですね(上図右)

これを「腹圧性尿失禁」といいます。

 

切迫性尿失禁と、腹圧性尿失禁って、問診で区別できることが多いです。

でもどっちのタイプの尿失禁か、問診で区別しにくいこともよくあります(特に高齢の方)

さらに、両方のタイプが合併している尿失禁もあるから(混合性尿失禁といいます)、話がややこしいんですよね・・・

 

「今は排尿は正常なんだけど、術後に尿が漏れやすくなりますか?」

これは、漏れやすくならない人もいるし、もれやすくなる人もいます。

 

 

↑これは、骨盤臓器脱手術を受ける方全員に、かならず説明している内容です。

(手術前にお渡しする説明用紙に記載されています)

 

このように・・・

尿道の締まりが正常の人であれば、骨盤臓器脱術後に尿漏れが生じることはありません。

ただしもともと締まりがゆるい人では、術後に漏れやすくなることがあるということですね。

 

排尿異常に対する私のスタンス

 

ということで・・・

「骨盤臓器脱術後に排尿状態がどうなるか、正確に予想するのは難しい」ということです。

 

だから当院では・・・

①まず骨盤臓器脱手術をやって、膀胱尿道を正常の位置に戻す。

②術後の排尿状態に応じて、適切な手を打っていく。

この安全確実な方針を採用しています。

 

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